A-CAP店長(初代シクロクロス最速店長)ムコ 志は空よりも高く

東京あきる野市のA-CAP(AKIRUNO-Cycling Academy Project)の店長。ロード、シクロクロス、マウンテンバイクの3種目で最上級カテゴリーで戦った経験を活かし、情報発信をしております。自称「あきる野の狼」

Raphaスーパークロス野辺山2016

この週末は野辺山シクロクロス2Day`sで出てきました。
 
全日本に向けてフルメンバー+海外招待選手が揃うハイレベルなレースの中で、新たな課題を突き付けられる結果となってしまいました。
 
DAY1
土曜日のDAY1
会場に到着すると予想以上に温かく、優しい野辺山になるかと思いました。この時は。。。
 
試走時は温かく、着込んでいると汗ばむし、手も素手でいける。晴れて明るかったのですが、野辺山は毎年早い時間から日が陰るので、サングラスはSALICEの明るめのミラーレンズをチョイス。タイヤはビットリアのマッドタイヤのXL。マキノに続いての投入。路面は雪解けの泥があるものの、DAY1と言うこともある、泥は軽めで比較的走り易い。XLを着けて走ればドライと同じ感覚で走れそうなくらい。
 
マシンのセッティングとウォームアップを済ませてスタート地点へ。
しかし、この辺から雲が出て風も吹きはじめる。
ポカポカの試走タイムから僅か2時間で急激に気温が低下し始めた。これは不味いと思ったけど、既にスタート5分前。サポートの人にレッグウォーマーを持ってきてもらおうと思っても、もう間に合わない。
野辺山の厳しさを甘く見ていた訳では無いけど、ここまでの急激な変化は想定外だった。
 
そんな中でのスタート
1周目は寒さであまりペースを上げられず、ややポジションを下げてしまい、2周目から追い上げ開始。
毎周回数人ずつ抜いてはいるものの、抜きどころの少ない野辺山で最初にポジションを下げてしまったのは痛かった。
そして、寒い。レッグウォーマーがあればもう少し楽に走れたかもしれない。手もかじかんだ。通常は手の感覚を優先してエルゴグリップの薄手の指付きグローブを着けているけど、冬用ではないので、この日の野辺山では厳しかった。ブレーキを握る手が辛かったけど、SNELでワイヤーの引きが軽くなるようにチューニングしてもらってたから助かった。
そして、後から聞いた所、低温に悩まされたのは自分だけでは無かったようで、強いメンバーでも寒さでバイクを降りた選手もいたらしい。やっぱり、あの昼過ぎの高温からここまで冷え込むことは予想困難だったと言うことだろう。

イメージ 1
スタートして3分でサングラスのレンズに泥が付いて捨てることに。受け取ってくれたつんさん有難う(写真:酒井氏)


 
走りの方はそこそこ調子良く走れていたのと思う。泥はけして得意とは言えないが、タイヤがXLである分、かなりのアドバンテージがあり、バギーコース後のメイン会場に戻ってくる区間や、キャンプ場付近のシングルトラックなど明らかに周りより速く走れる区間が幾つもあった。そう言う区間では自分よりテクニックがあるMTB系の選手と差を詰めたり、追い越したり出来たので、タイヤに助けられていたのは間違えない。
 
しかし、やっぱり最初の出遅れが響いた
正式結果を確認していないけど、25位くらいまで上げたところで80%ルールにひっかかりラスト2周で終了。やりようによっては完走出来る走りだっただけに悔しい。

イメージ 2
集中してやれるだけのことはやったけど完走出来なかった。結局、まだまだその程度の実力と言うこと(写真:岡元氏)

 
 
そして、レース後の宿舎。
全ての選手がそうだろうけど、泥レースになってしまった時の野辺山2Day`sは試練だ。
次の日に備えて早めに栄養を取り、冷えて汚れた身体はお風呂でしっかり温める。出来ればこのまま寝てしまいたい所だけど、そこまでやって落ち着いたら、ウェアの洗濯が始まる。2つずつ持っているアイテムもあるけど、それでもシューズなどはジャストなものが1足しかないため、洗濯機も無い状況で洗濯と乾燥を手作業で行う。
 
そこまで済んだら脚をマッサージして就寝。
ここまでの労力がけっこう半端ないので、翌日は重役出勤にさせてもらう。
 
 
DAY2
明けて、日曜日のDAY2
雨と言う予報だったけど、宿を出発する時は降っていなかった。このまま天気が持てば良いなと思ったけど、やっぱり野辺山はそんなに甘くない。試走時間からきっちり雨が降り始める
そして、試走開始3分で泥を変速機に引っかけて、エンドを破損してしまう。
急いで、チームテントに戻って修復してもらったけど、スタート前に諏訪監督の余計な仕事を増やしてしまったし、自分自身も恐怖心が出て、同じ区間は攻められなくなってしまう。レースなのにこう言う精神的影響は痛い。
 
試走終わりにLOND BICYCLEの丸ちゃんに会ったので「エンド折ったよ」って話したら「変速をきっかけにディレーラー引っかかるから、ヤバい場所は変速しない方が良いね」とアドバイスをくれた。こう言う引き出しの豊富な選手からの助言は有り難いね。
(ROND BICYCLEでは、世界選手権出場経験を持つ丸山店長がそのテクニックを余すことなく伝授してくれるクリニックもやっているので、長野の南の方に住んでる方はぜひどうぞと一応宣伝しておこう)
 
そんな感じでチームの万全の対応で、何事も無かったかのようにアップしてスタートラインへ。
とは言いつつ、アップしても寒い。身体が温まっても、数分ですぐ冷えてしまう。だから、スタート前の召集では結局体は冷えて寒い寒い。
一応、前日の反省を活かして、レッグウォーマーを履いて、グローブもビオレーサーの冬用グローブを着用してスタート。ここまで着て暑過ぎることは絶対にない。要するに寒い!
 
そしてスタート。
実は野辺山は最初のコーナーを考えると左側のスタートの方が良いなと感じていたんだけど、前日に左側からスタートしても、後方に埋もれてしまったので、この日は右に位置取ってみた。しかしこれが悪夢の始まりだった。
普通にスタートして第一コーナーへ。すると左側から膨らんできた選手が右に寄ってきて多数落車。足止めを食らう。自分の目の前でやられてので完全にストップしている脇を後方の選手が担ぎで抜いていく。そして再スタートを切ると、今度は道路の右端、舗装の無い場所から強引に抜いて前に入った選手が自分の前でよろける。これでまた足止め。
無理してコケるなら、後ろで大人しくしておれ!
 
そんなこんなでコントロールラインを通過する時に振り返ると最下位まで落ちていた。
やっちまった。。。
スタートして1分少々で既に絶望的な状況。
とは言え、ここから追い上げ行くこと以外にやることはない。
 
キャンプ場のシングルトラック辺りは酷い渋滞だったけど、それを強引にコーナーの外・外を突いて抜いていく。申し訳ないけど、こんな渋滞にハマっていては、秒殺でレースが終わってしまう。そんなフラストレーションが溜まる状況から2周。やっと自分のペースで走れる状況になった。マキノのラップタイムなども参照すると、後方の渋滞にハマると1周で2030秒、自分のペースで走るより遅くなる。それが2周で約1分。80%ルールを考えるとこの1分がどれだけ手痛いか。しかし、その出遅れも含めて自分の実力だから、言い訳にならないし、とにかくここからは自分のペースで走れるから引き続き前を1人ずつ抜いて行くしかない。
しかし、前日以上に前はハイペースだったらしく、ラスト3周の所で降ろされて終了。正式結果は見てないけど、30番くらいか。

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3周目から自分のペースで走れたけど、本来は最初からこのペースで走らないといけない(写真:酒井氏)

 
非常に悔しい2日間になってしまった。
タイヤのお陰も有って、泥なのに自分としては善戦した部分もあると思う。毎レースごとに見付かる課題を着実に修正してきたから、泥でも大崩すること無く走れたと思う。それだけに悔しい。やり方を少し変えて、全てがカチッとハマれば、まだ5人や10人くらい抜かせそうな手応えもあるし、完走だってちゃんと出来ると思っているので、このギクシャクした走りしか出来ない現状が情けない。
 
今回の反省点は何と言ってもスタート。
特に今シーズンはじめはスタートだけは調子良かったので、色々改善をしてきたのに、ここにきてスタートが課題になるのは頭が痛い。
全日本は絶対に60分間走り続けるので、全体のペース配分を考えつつも、もっと序盤から突っ込んで行かないといけない。
 
そして、自分ではどの区間も無難に走れていたと思っているけど、この無難な区間をもっと速く走れるようにならないと、もう1つ上は目指せない。「ここは得意だな」「今日、俺この区間速いな」と思える区間はそれで良いと思うけど、それ以外の全ての区間はもう1段階速く走れるはず。毎年、野辺山は厳しいレースになるが、お土産に色々反省点をくれる。この反省点の修正が全日本までの急務になる。


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これはDAY2のシケイン直後の乗車。周りはずっとランニングしてたけど、右側の芝の残ったスペースを使えばすぐに乗車出来た。こう言う、周りよりもクレバーに処理できるポイントをもっと増やしていかないといけない(写真:酒井氏)

 
正直なところ、もっと行けたと思うし、全日本までに取り組むべきことも見えているので、あと2週間でまだまだ調子は上向くと思う。
雨の野辺山で完璧なサポートをしてくれたチームのために、サポートして頂いているサプライヤー様のためにも、自分自身のためにも、あと2週間やれることをやって、全日本では良い走りを披露したいと思います。