A-CAP店長(初代シクロクロス最速店長)ムコ 志は空よりも高く

東京あきる野市のA-CAP(AKIRUNO-Cycling Academy Project)の店長。ロード、シクロクロス、マウンテンバイクの3種目で最上級カテゴリーで戦った経験を活かし、情報発信をしております。自称「あきる野の狼」

2019シクロクロス全日本選手権

先週末はシクロクロス全日本選手権でした。

言わずと知れた日本一決定戦。恥ずかしながら優勝に絡むような選手ではありませんが、それでも大一番でベストを尽くしてひとつでも上の順位を取りたいところ。

思うようにいかないことの方が多いけど、それでもこの大会に向けてトレーニングや準備をしてきました。

 

今年の会場は四国・愛媛。

四国なんて生まれてこの方行ったことが無い遠方。会社の健保のパッケージプランが安かったので飛行機で行くことに。

SNELの諏訪GMがチームカーを出してくれたので、スペアバイクやローラー台を運んでもらい、移動の負担などほぼノーストレスでレースに臨めることに。

いつもながら色々やってもらっているので、その分は走りで返すしかない。

 

小島大輝と一緒に羽田発の始発便で松山入り。

そこからレンタカーで移動し、昼ご飯を食べて試走へ。

 

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前日試走。情報共有しながら念入りに走り込む PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

事前の情報通り河川敷の平坦コース。

淡白になりがちな河川敷のコース。色々工夫してここまで仕上げたんだろうなと言うのが伝わってくる。
テクニカルセクションがいつもより少ない中で、最大のポイントになりそうなのがコースの両端にあるキャンバーと激坂登り。

どちらも「単独なら問題無くクリア出来るけど、前に人がいると難しい」と言う印象。

とは言え、試走時間中も徐々にラインが出来はじめていたので、当日の直前試走ではまた状況が変わるだろうなと思った。

 

寒河江蔵王のような平坦の踏み重視のコースは好きだし、スタートループが長い舗装路なのも自分好み。

前日試走では脚に疲れが残りそうなくらい走り込んだけど、脚の感触も良かった。

幕張、涸沼、野辺山となんか噛み合わないレースが続いていたので、全日本はノートラブルで出し切るレースがしたいと思っていたけど、明日は現状のベストが出せそうな予感がしてきた。

 

 

そして当日。

晴れて気温が上がり秋みたいな陽気。これも自分にとっては好都合。良い条件が揃いワクワクしてくる。

 

そして自分のレース前、U23でチームメイトの連が3位獲得。

正直、テクニカルコースが得意な連には今回のコースは向いていないんじゃないかと思っていたけど、途中のパンクも跳ね除けて素晴らしいパフォーマンスを発揮した。

2年前の拓海の時も、去年の大輝も、チームメイトが大一番でベストパフォーマンスを発揮する姿はとても勇気をもらえる。

 

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チームメイトの連の好走にテンションが上がる PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

 

そして昼の直前試走。

やはりキャンバーはだいぶ難易度が下がり、単独なら問題無くクリア出来る。

前に人がいる時の処理だけ注意が必要。

タイヤはいつも通りVittoria Terreno MIX チューブラーで1.75気圧。

ノブがない「DRY」でも行けそうだけど、何カ所かガレているポイントでストレスにならないようにノーマルで行く。

空気圧は高め。圧を上げるとキャンバーのフィーリングは悪くなるけど、もう問題無くクリア出来るし、直線での踏みを重視。

 

アップは野辺山の反省を踏まえて多め。ただでさえ気温が高いので筋肉はほぐれていたけど、野辺山の1周目で全然身体が動かなかった悪夢は繰り返したくないので、ローラーと舗装路を使って念入りにウォーミングアップ。少し脚に疲れを感じたけど、スタートと同時に動いてくれそうな感じに仕上げた。

 

いよいよスタートラインへ。

得意な長い舗装路でのスタート。道幅も広く、3列目からでもジャンプアップが狙えそう。

 

そしてスタート!

やはり舗装のスタートは得意らしく、ややポジションアップ。スピードが上がってから隙間にねじ込んでいく感覚はJプロのクリテリウムで鍛えられている。10番台なかばくらいまでポジションアップし、まだまだ前に上がりたいところ。

 

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スタート。右側のラインからポジションを上げていく PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

そんな中、堤防を下ってから180°右に切り返すコーナーで、イン側が丸々空いているのを見つけてすかさずねじ込もうとする。

するとその引いた選手がインに切り込んできて接触。両者落車。ただすぐに起き上ったのでポジションダウンは最小限に留める。

 

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序盤。前に入れてペースの速い展開の中でさらに前を目指す PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

こうしていよいよ1時間のレースが本格的に始まって行く。

自分の位置では2周目から早くもバラバラでパックにはならず。

しかし、前後の選手は密集していて抜いたり抜かれたりと言う状況。

 

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テクニカルと言われたキャンバーもフル乗車 PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

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テクニカルと言われたキャンバーもフル乗車 PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

問題のキャンバーも、なんだかんだでさすがは男子エリート、皆、前走者の影響を受けない間合いで侵入して問題無く乗車クリアしていく。

ただ、このキャンバーの前でわざと開ける僅かなギャップが、直線でそれを埋めるために脚を削っていく。だから見える位置に密集しているのになかなかパックにならない。

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淡白になり易い河川敷のコースだけど、小技が必要なポイントが随所にある PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

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コーナー立ち上がって登りで踏み返しみたいなセクションが幾つかあり、脚が削られる PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

踏みっ放しのコースだから休めず、中盤以降はただただペースを落とさないように必死に走る。

前からタレた選手が落ちてきて抜くことも有れば、逆に後ろから勢いよくきた選手に抜かれ、付こうと思っても振り切られたり。

そんな感じで20番前後の攻防が続きラスト1周。

 

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ずっと個人TTだったので終盤は我慢比べ PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

 

もう攣りかけている脚をどれだけ攣らないようにさせながらペースをキープするかと言う走り。

ラストで勢いよく抜いて行った選手には残念ながら反応できず、さらに4人くらいのパックが迫ってくる。

これには何としても捕まりたくなくて、可能な限りペースをキープ。

最後は背後に迫られて直線で下ハン持ってスプリントするけど脚がスカスカで全然伸びず。

なんとかパックからは逃げ切って19位。

 

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最後はスカスカの脚でスプリントしてゴール PHOTO by Kensaku SAKAI(FABtroni+camera)

 

ここ数年では一番良い走りが出来た全日本選手権だったかな。

現状のベストは出せたと思います。

とにかくノートラブルでゴールまで行けてホッとしました。

 

ただ、もっと上に行きたいし、中盤以降に抜かれた選手をもっと追いかけたいのに出来なかったことが今後の課題です。

 

自分の中では遥々愛媛まで行った甲斐がある良い全日本選手権でした。

これを区切りにシーズン後半戦。宇都宮と蔵王UCIレースでUCIポイント狙いたいし、ローカルなレースで優勝も狙っていきたい。

まだまだ気を抜かず、しっかりトレーニングしていきます。